東京地方裁判所 昭和53年(借チ)1066号 決定
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【判旨】
二相手方らは、本件賃貸借は近く期間満了となり、その際は正当事由により更新拒絶の予定であるから、本件申立ては許されるべきでない、と主張するので検討する。
土地賃貸借期間の満了に際しての更新拒絶の当否(その反面としての法定更新の成否)は、もとより当該期間満了時を基準として判断されるべきであるが、借地権者は契約の更新なき場合においては時価による建物の買取請求権を有するから、借地権の残存期間が短く更新時期の近づいている場合においては、賃貸人に更新拒絶が認められる以上、賃借人の申出による増改築の許否を決するについても、賃貸人の予定する更新拒絶の当否を当該時点において可能なかぎり審究するのが相当である。
更新拒絶の理由として相手方らが具体的に主張するのは、申立人の設置したブロック塀が本件土地をはみ出しているとの点である。この点につき、当事者双方は第一回審問期日において問題解決のため現地の測量を行なうことを合意し、その後、双方立合いの上で行なわれた測量の結果(第二回審問期日の提出の実測図)に基づき、申立人は問題のブロック塀が借地(本件土地)を1.0318平方メートルはみ出していることを認め、改築の際にブロック塀を撤去することを約した。その後、当裁判所の斡旋により当事者間に和解の成立が見込まれたのであるが、最終審問期日には、相手方ら代理人(審理終結後辞任)により和解条項案として前記ブロック塀の撤去に関する条項が提示され、申立人はこれを承諾した。というのが本件審理の経過であつて、これによると、ブロック塀云々の点をとらえて、相手方らに更新拒絶の正当事由ありとはたやすく考え難いところである。
その他、相手方らは申立人に対する不信を強調して更新を認め難いとするが、その主張は具体性に欠けるというほかない。
以上により、本件において更新期が切迫していることを考慮しても、これをもつて本件申立の許否を決する上での消極事由とすることはできない。
(可部恒雄)